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現代

  • お仕事 / 日常 / 現代

    三十時間ぶりに帰った台所で、真島は鰤を卸した。 スーパーで半額になっていた四分の一の切り身を、まな板の上に据える。出刃は実家から持ってきたまま一度も研いでいない。背骨に沿って刃を入れるとき、いつもの角度が出なかった。指先 […]

    933字 / 約2分

  • いい現場

    お仕事 / ヒューマンドラマ / 現代

    【G】大手検索サイト レビュー| めし処さかもと ★★★★☆ 味は確か。このへんでまともなハンバーグ食べたいならここ一択。店員の女の子が明るくて感じいい。- yamada_t(2023年4月) ★★★★★ ハンバーグ定食 […]

    7,086字 / 約12分

  • 全員まる

    シリアス / ダーク / 現代

    四月の教室は少しだけ埃っぽい。春休みのあいだ誰もいなかった部屋を、朝の光がやわらかく照らしている。新しい教科書の紙の匂いがする。名簿順に並んだ机が、まだ誰のものでもない顔をしている。担任の宮下先生は、若くて、声が大きくて […]

    1,882字 / 約3分

  • 右側の男

    日常 / 現代 / 社会人

    その掲示を、中谷は千回以上見ていたはずだった。 通勤で使う半蔵門線・永田町駅のエスカレーター、乗り口の左側の壁に貼られた黄色いステッカー。毎朝そこを通り、毎朝左側に立ち、毎朝右側を空けた。有楽町線に乗り換える人たちが右側 […]

    2,462字 / 約4分

  • 若竹色のラリエット

    日常 / 片思い / 現代

    ラリエット。鎖骨の上で、小さな石が揺れていた。 向かいに座って話しながら、それが気になっていた。話の内容はあまり頭に入らなかった。うなずいて、相槌を打って、笑うべきところで笑って、その合間にちらちらと石を見た。鎖骨の窪み […]

    633字 / 約1分

  • 図々しい

    片思い / 現代

    同じだけの感情は返ってこない。それをわかっていて、改めて突きつけた上で、寄り添おうと言っているのだ。 図々しい。 自分でもそう思う。釣り合わないと知っている。一方が重く、一方が軽い。天秤にかけたら一瞬で傾く。そのことに気 […]

    683字 / 約1分

  • 走性

    片思い / 現代

    勾配を計算することにした。どこへ向かえば最も急に近づけるか。偏微分で解けると思った。感情の変数を固定して、距離だけを動かせばいい。確度をあげるとはそういうことだと信じていた。 変数は多かった。表情、声の高さ、返信までの時 […]

    754字 / 約1分

  • 体温

    現代 / 音楽

    それはもう物心ついた頃から当たり前のように彼女とともにあって、もうずっと、その音に引きずられている。 最初に覚えているのは、顎に当てた瞬間の冷たさだ。木の感触が体温を吸って、やがて馴染む。弓を動かすと胸のあたりできぃと鳴 […]

    886字 / 約1分

  • 馬鹿になる

    現代

    彼は扉だった。僕の世界と外界をつなぐ大きな扉。 僕は選んだのだ。僕の世界は彼と共にあったし、それが世界の全部だった。 見られている。光を通さなくなった瞳は、こちらをまっすぐに見つめてくる。背負ったものの重さを吐き出した一 […]

    875字 / 約1分 R15

  • なくしたくない

    日常 / 現代

    あんなやり合いのあとでセックスなんてままごとに等しい、と思っていた。でも始まってしまえば、それは正しくもなかった。興奮と情愛を言葉にして編み上げ形にしたい気持ちと、ふわふわと身体中をつつむ高揚感ごと飲み込んでしまいたい思 […]

    770字 / 約1分

  • 北極星のままで

    片思い / 現代

    知ってしまった、と思ったのは、彼の手が離れたあとだった。 握られていた左手のひらに、まだ熱が残っている。彼の手は厚かった。指の節がしっかりして、爪が短くて、握り返したときに骨のかたちがはっきりわかる。そういう手だった。離 […]

    866字 / 約1分

  • サイト限定

    完結

    凪と晃

    すれ違い / 日常 / 現代

    アルコール分1パーセント未満の密造酒に名前をつけるなら、/phにしようかな、と凪は言う。書かれない言葉のほうがきれいだ、と。同じ家、同じ月、同じ角度に首を傾ける、いくつかの夜の話。

    全7話 6,609字 / 約11分