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家族

  • 手つき

    官能 / 家族 / 現代

    澪がドアを開ける気配がして、匠は手元の本を伏せた。 ノックはない。最初の頃はしていたけれど、いつの間にかしなくなった。そのほうがいい。ノックには返事がいる。返事には判断がいる。入っていいのか、今夜はどうか。そういうことを […]

    2,326字 / 約4分

  • sudo_hiroshi

    家族 / 現代

    スーツケースにユニフォームを入れた。レプリカじゃない、ちゃんとした刺繍のやつ。三年前に現地のスタジアムで買って、一度も袖を通さずにクローゼットにしまってあったのを、今回のために出した。今回のために、というか、こういう日の […]

    4,644字 / 約8分

  • sudo_maki

    家族 / 現代

    お父さんが死んだ日、私は会社にいた。 母からの電話に出たとき、最初の三秒くらいは何を言われているのかわからなかった。お父さんが、と母が言って、倒れて、と言って、それからもう、と言った。「もう」の先を母は言えなかった。言え […]

    4,034字 / 約7分

  • 巣鴨の路地

    家族 / 日常 / 現代

    実家に戻ってきて、三ヶ月になる。 巣鴨の駅から徒歩で十分、路地の奥に祖父の代からの家がある。父が継いだ家業は、古い土地を貸して回していくだけの仕事で、毎日決まって出ていく場所もない。透は朝起きて、庭に出て、植木に水をやる […]

    1,029字 / 約2分

  • 庭の花は満開

    家族 / 現代

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    2,311字 / 約4分

  • お気の毒に

    ヒューマンドラマ / 家族 / 日常 / 現代

    トイレに立つたびに目に入るので、家族のなかでいちばん頻繁に顔を合わせているのは祖母ということになる。 正確には遺骨の一部で、直径三センチほどのガラス玉に封じ込められている。トイレ前の壁に設えたニッチに、読みかけの文庫本と […]

    5,146字 / 約9分

  • 角を曲がったところで

    ヒューマンドラマ / 家族 / 日常 / 現代

    1 2 3 4 1 ハンドルを握る手が湿っている。 「この先の角を曲がったところで待ってて」 妻が降りたのは三十秒前だ。いつもの言い方、いつもの段取り。妻が買い物をしている二十分かそこらのあいだ、自分はこの車を預かる。エ […]

    6,193字 / 約10分

  • 秋の日は鶴瓶落とし

    家族 / 日常 / 現代

    秋の日は鶴瓶落とし、という。さっきまで明るかった空が、気づくと暗い。井戸の底に落ちる桶のように、一気に沈む。その速さにいつも驚く。何度秋を過ごしても慣れない。 法事の帰りだった。叔母の三回忌。座敷に通されて、仕出しの蓋を […]

    1,638字 / 約3分

  • うちのママの絵

    家族 / 日常 / 現代

    うちのママは絵が下手だ。下手、というのもちょっと違う。絵心がないとか、不器用とか、そういう話ではなくて、もっと手前のところで何かが絶望的に噛み合っていない。たとえば、立方体が描けない。 四角に何かをつけ足すと立方体になる […]

    1,243字 / 約2分

  • 指定席

    家族 / 日常 / 現代

    毎週土曜の十四時から、息子はスイミングスクールに通っている。レッスンは一時間。 一時間をどう過ごすかは、待合室に足を踏み入れた瞬間に決まる。 ガラス越しにプールを見下ろせるその部屋には、すでに母親たちが集まっていて、パイ […]

    1,226字 / 約2分

  • 督促

    家族 / 現代

    電話の向こうで息子が何か言いかけたのを、正志は遮った。 「だからな、返せないなら最初から借りるなって話だろうが」 声が自分でも思ったより大きくなっていた。ダイニングテーブルに片肘をつき、もう片方の手で携帯を耳に押しつけて […]

    1,144字 / 約2分

  • 構想中

    ある晴れた日に

    家族 / 探偵 / 現代

    本郷の屋敷に暮らす元銀座のクラブのママ・藤子と家政婦のはるさん。金鍔を依頼料に日常の謎を解くふたりの応接間に、ある日、穏やかではない依頼が持ち込まれる。

    全6話 / 連作短編

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