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片思い

  • 岸壁

    お仕事 / 片思い / 現代

    成田に降り立ったとき、晋は最初に湿度のことを考えた。ポートランドの乾いた空気に四年も浸かっていたせいで、六月の日本の重さが肌に貼りついた。到着ロビーの自動ドアが開くたびに、外気がぬるい舌のように入り込んできて、晋はその不 […]

    5,283字 / 約9分

  • 執筆中

    幸福の人

    シリアス / 片思い / 現代 / 超能力

    体臭に他者の安心記憶を呼び起こす作用を持つ青年・野方陽。誰もが彼のそばで安らぐ。ただひとり、その作用を受けない人物を除いて。

  • 若竹色のラリエット

    日常 / 片思い / 現代

    ラリエット。鎖骨の上で、小さな石が揺れていた。 向かいに座って話しながら、それが気になっていた。話の内容はあまり頭に入らなかった。うなずいて、相槌を打って、笑うべきところで笑って、その合間にちらちらと石を見た。鎖骨の窪み […]

    633字 / 約1分

  • 図々しい

    片思い / 現代

    同じだけの感情は返ってこない。それをわかっていて、改めて突きつけた上で、寄り添おうと言っているのだ。 図々しい。 自分でもそう思う。釣り合わないと知っている。一方が重く、一方が軽い。天秤にかけたら一瞬で傾く。そのことに気 […]

    683字 / 約1分

  • 走性

    片思い / 現代

    勾配を計算することにした。どこへ向かえば最も急に近づけるか。偏微分で解けると思った。感情の変数を固定して、距離だけを動かせばいい。確度をあげるとはそういうことだと信じていた。 変数は多かった。表情、声の高さ、返信までの時 […]

    754字 / 約1分

  • 北極星のままで

    片思い / 現代

    知ってしまった、と思ったのは、彼の手が離れたあとだった。 握られていた左手のひらに、まだ熱が残っている。彼の手は厚かった。指の節がしっかりして、爪が短くて、握り返したときに骨のかたちがはっきりわかる。そういう手だった。離 […]

    866字 / 約1分