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日常

  • 体操服

    日常 / 現代

    タイヤが砂利を噛む音がして、「おら行くぞー!」と、岡谷の声がした。それから布が引っ張られるような、くぐもった笑い声。鳴海の声だ。 スマホの画面にはLINEのトーク一覧が映っていた。誰にも用はない。未読もない。ただ親指が画 […]

    1,461字 / 約2分

  • お仕事 / 日常 / 現代

    三十時間ぶりに帰った台所で、真島は鰤を卸した。 スーパーで半額になっていた四分の一の切り身を、まな板の上に据える。出刃は実家から持ってきたまま一度も研いでいない。背骨に沿って刃を入れるとき、いつもの角度が出なかった。指先 […]

    933字 / 約2分

  • 右側の男

    日常 / 現代 / 社会人

    その掲示を、中谷は千回以上見ていたはずだった。 通勤で使う半蔵門線・永田町駅のエスカレーター、乗り口の左側の壁に貼られた黄色いステッカー。毎朝そこを通り、毎朝左側に立ち、毎朝右側を空けた。有楽町線に乗り換える人たちが右側 […]

    2,462字 / 約4分

  • 若竹色のラリエット

    日常 / 片思い / 現代

    ラリエット。鎖骨の上で、小さな石が揺れていた。 向かいに座って話しながら、それが気になっていた。話の内容はあまり頭に入らなかった。うなずいて、相槌を打って、笑うべきところで笑って、その合間にちらちらと石を見た。鎖骨の窪み […]

    633字 / 約1分

  • なくしたくない

    日常 / 現代

    あんなやり合いのあとでセックスなんてままごとに等しい、と思っていた。でも始まってしまえば、それは正しくもなかった。興奮と情愛を言葉にして編み上げ形にしたい気持ちと、ふわふわと身体中をつつむ高揚感ごと飲み込んでしまいたい思 […]

    770字 / 約1分

  • サイト限定

    完結

    凪と晃

    すれ違い / 日常 / 現代

    アルコール分1パーセント未満の密造酒に名前をつけるなら、/phにしようかな、と凪は言う。書かれない言葉のほうがきれいだ、と。同じ家、同じ月、同じ角度に首を傾ける、いくつかの夜の話。

    全7話 6,609字 / 約11分

  • ルブタン履いて外股の女

    日常 / 現代

    赤い底が、改札の手前で一瞬光った。 わたしの二歩前を歩いている女のヒールが、タイルの継ぎ目に引っかかりかけて、それでも止まらなかった。膝はうっすら外を向いている。歩幅は思ったよりせまい。腰から下を引きずるみたいに、けれど […]

    1,339字 / 約2分

  • 発泡ウレタンの日

    日常 / 現代

    やることが多すぎる。 脳の奥はジンと痺れて、発泡ウレタンが膨れ上がるように訳のわからないものが頭を起点として体の中にもこもこもこもこと盛り上がってくる。体の形をした薄皮のなかがその訳のわからないものでいっぱいになり、限界 […]

    1,187字 / 約2分

  • 執筆中

    足りないものがすぐ分かる
    久住朔は料理ができない

    バディ / 探偵 / 日常 / 現代

    古い商店街の三階建て。足りないものがすぐ分かる朔は料理ができない。警察が動けない依頼を捌き、ひなの料理を食べ、二人は毎晩同じ食卓につく。

    129字 / 約1分